GameSpotインタビュー:ポケモンカードはいかにして作られるか

アメリカのゲームメディア GameSpot にインタビュー記事が公開されました。「ステップ1:ポケモンを選ぶ」「ステップ2:イラストの制作」「ステップ3:フルタイムテストプレイの三部構成の元記事 How New Pokemon Cards Are Made by Kallie Plaggeからイラスト部分のみ、日本語にしてみました。

If you are English reader, the original post is here.

ステップ2:イラストの制作

どのようなカードが必要か、誰に依頼するか決まると、イラストの製作が始まります。

現在クリーチャーズがポケモンカードのイラストを依頼しているイラストレーターは73名にのぼります。中でも最も沢山のイラストを描いてきたのが、ポケモンカードの誕生から現在までに537枚(2018年5月末現在)を手掛けてきた有田満弘です。

クリーチャーズオフィスにて

クリーチャーズのオフィスで彼のワークスペースを見せてもらいました。クリーチャーズには未発表の情報に基づくイラスト制作のために、外部のイラストレーターが作業するためのスペースがあります。作業環境にはそれぞれのイラストレーターが自宅で使用しているのと同じハードとソフトが用意されています。最近リリースされたラランテスを例に、陰影付けや、背景の彩色など、どのようにして生き生きとしたポケモンを描き出すのかについて、紹介してもらいました。

制作のプロセスは、クリーチャーズが依頼するカードについて、どのようなポケモンか、動き、特定の背景を要するかなどの資料をイラストレーターに提供しするところから始まります。トレーナーカードの場合も同様です。「サカキの計画」のようなカードの場合、「ボス感」を演出するため、イラストチームと相談して肖像画のような印象で描きました。キラカードやホロの効果についても、必要に応じてイラストチームと相談し、協力して作り上げます。

ゲームボーイで最初のポケモン赤と緑が発売された当時、イラスト制作のための十分な資料など当然無く、最初はゲームのドット絵、遅れて少しずつ公式イラストが揃い始めるという状況でした。そうした状況の中で、彼は90年代後半ポケモンに熱狂した子供たちにとって象徴的な第一弾リザードンと「太った」ピカチュウなどのカードを制作しました。

「第一弾のリザードンとピカチュウが最初期からのプレイヤーにとって、余りに強く20年以上の想い出とともに刻まれているので、これを越える評価を得るカードを描くことはもうできないのではないかと思っていました。でも、最近描いたミューツーGX(研究室のチューブに浮かんでいるシークレットバージョン)には、沢山の喜びの声を頂いて、新しいお気に入りになりました」(有田氏談)

彼は最初期にフシギダネとフシギバナを手掛けていますが、フシギソウは杉森健氏の作品になっています。ポカブの家族のカードのように進化カードも同じイラストレーターで統一される例もありますが、基本的にはひとりのイラストレーターで進化ポケモンを通して描くことは稀です。バラエティと制作時間の都合からバラバラに割り振ることが多いとのことです。

イラストが完成していなくてもテストプレイに入らなくてはならないという点においても、イラスト制作の時間効率は無視できません。

クリーチャーズオフィスにて。左からテストプレイヤーの井上さん、ゲームデザイナーの長嶋さん、イラストレーターの有田。

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